「自分がHSPだと気付いたけれど、家族に打ち明けた方が良いかな」
「上司に自分はHSPだと話した方が仕事がしやすくなるかな」
「HSPだということを友達に話したいけど、どんなリアクションをされるかな」
自身がHSP気質をであることに気がついた方であれば、一度は考えることかと思います。
言ったほうがいいのか?どんな反応になるだろう?
カミングアウトをする前に、もうすでに頭の中がごちゃごちゃになりますよね。一度整理して、今後どのようにしていくことが最善かを経験者がここに綴っていきたいと思います。
1.HSPに対する一般的な理解とは?
ではまず、HSPについて一般的にどのように知られているでしょうか?
HSPに該当する方は、HSPについてたくさん調べ、たくさん経験をしてきています。
一方、HSPではない方たち(非HSPさん)はどれくらいの理解度でしょうか?
「HSPさん」「繊細さん」という言葉が大分世の中に浸透してきたのでワードとして知っている人は多そうですよね。
さらにそこからHSPってなんだろう、繊細さんってどのような日常を送っているのだろうと、興味を持って調べたりする非HSPさんは、余程心理学やコミュニケーションに興味があったり、または様々な人材を取りまとめるリーダーポジションの方だったり、深く知っているのは少数だと考えられます。
それはなぜか?
- HSPは日本人の5人に1人と言われており、少数派だから
- HSPは病気でも障害でもない、診断書が出るものでもない<気質>だから
破天荒タイプの人が
「私、チャレンジ精神が旺盛で、天真爛漫だからルールに縛られるのがイヤな気質なんだよね!」
と言うのと、
HSPさんが
「私、人の言動が気になり過ぎてしんどくなっちゃたり、争いとか大きい音とか苦手なんだよね!」
と言うことと、同じことなのですよね。同じ気質のお話だから。
「チャレンジ精神が旺盛で天真爛漫」と言われた時に、天真爛漫について調べないことと同じですよねぇ。
2.なぜ言いたいのか、その目的を自分にじっくりと聞いてみて
「仕事で迷惑を掛けてしまっているように感じるから、自分はHSPなのだと言いたい」
「繊細な自分を家族に面倒だと思われたくないから、自分はHSPなのだと言いたい」
「お友達付き合いがうまくいかないとよく悩むから、自分はHSPなのだと言いたい」
など、様々な考えがあるかと思います。
では一度、なぜ言いたいのかという<なぜ>の部分について、さらに深掘りをしてみませんか?
自分の気持ちを深掘りしていくことは、HSPさんにとっては苦手な行為であるかと思います。
感情が昂って、涙が溢れてくることもあるかもしれませんが、自分自身の心の声に一度耳を傾けてみてください。
普段周りの声はたくさん聞いているHSPさん。自分自身の声を聞くのはなぜだかすごく難しいことですよね。私は家族が寝静まった後に自分の心とお話をするようにしていました。鏡で自分の顔を見て、自分に質問をしてみるのもおすすめです。
先ほどの3例で考えてみましょう!
仕事で迷惑を掛けてしまっているように感じるから、自分はHSPなのだと言いたい
本当に迷惑を掛けているのかな?迷惑だと直接指摘されたっけ?これは自己否定から来ている感情なのかな?
マルチタスクの日は他の人より作業が遅くなることを知って欲しいんだよなぁ。。
繊細な自分を面倒だと家族に思われたくないから、自分はHSPなのだと言いたい
本当に面倒だと思われているかな?どんなシーンで面倒そうな態度をされたっけ?
大きい音が鳴るとどきどきしちゃうの。。誰かが怒ると自分が怒られている気持ちになって身体が硬直して困っていることを知ってほしいんだ。。
お友達付き合いがうまくいかないとよく悩むから、自分はHSPなのだと言いたい
本当にうまくいっていないかな?直接指摘されたことあったっけ?迷惑を掛けた事例はある?
3人のお茶会だったら参加するけれど10人のBBQは苦手だから参加したくないことを知ってほしいんだ。。
このような感じで<なぜ>を深掘りしていきます。「思われていそう」「言われている気がする」など、自分の想像から派生している部分は、本当にその事実があるのかを徹底的に問うてみてください。
段々と目的が見えてくるかと思います。
そう!HSPであることを理解してほしい前に、こういうことで困っているという具体例を知ってほしいですよね。
そして、それを知ってもらった上で受け入れてもらえると尚嬉しいですよね。
3.HSPであると伝えた後のシミュレーションをしてみませんか?
「私、HSPなんです」
とカミングアウトした後のシミュレーションを一度してみましょう。
◯HSPさんの頭の中の場合、
「私、HSPなんだよね」
「あ、そうなんだ!全然気がつかなくてごめんね、今賑やかなカフェにいるけど大丈夫?どういうことが苦手なの?そっか、色々大変だね、うんうん、それで?そっかー」
と、会話が続くシミュレーションになるかと思います。
よーく考えてみてください。私たちは共感性があり、受け入れる力があり、相手に気を遣わせない繊細な気質です。この返答をしてくれる人はきっとHSPさんです。
◯HSPさんパワーを取り除いてもう一度シミュレーションしてみましょう。
「私、HSPなんだよね」
「あ、そうなんだ」「へー」「・・・なにそれ病気?」
という感じ。
これは私が実際友人に話をした時のリアクションです。会話の流れで話をしただけで、重くるしいカミングアウトではありませんでしたが、このあとHSPについて話が続くことはありませんでした。
「そんなのみんなそうだよ」「気にするからしんどいんだよ」「だからなに?」
このような返答も予想されます。
考えだすとキリがありませんが、冒頭で記した一般的なHSPの理解はこのような程度だと思われます。
HSPさんが期待する返答が返ってくることは難しいと考えておいた方が良い。ということを経験者はおすすめします。
伝えたあとの空気感。。気遣いパワーが発動して、この場を盛り上げないととピエロになってしまいそうですよね。
4.HSPであると伝えたい時の伝え方は?
このお話の流れで少しお気づきかもしれませんが、私は「HSPです」とカミングアウトすることをあまりおすすめをしていません。
その理由は、
- 伝えたところで自分の生活や気質が変わることはないから
- 伝えた後、自身への対応に気を遣われることにまた気を遣って疲れると予測できるから
- 残念なことにHSPというワードが非常にネガティブ要素が強く周知されているように感じるから
この3点です。
長年考えてこの3点に落ち着きました。夫にも言ってませんし、職場でも言いませんでした。今後言うつもりもありません。友人2人にだけ、近況報告の話の流れで軽く言ったのみです。
「HSPです」と伝えることはおすすめしませんが、他の伝え方はいくつかおすすめがありますよ!
この境地に辿り着くまではカミングアウトしないでほしい!
「私HSPなんだ(とっても傷つきやすいの、大きい音も苦手だし、話するのも大人数はいや。誰かが怒っていると自分が怒られている気がしてしんどくなっちゃう。自分の話をするとなぜか涙がでちゃうし、人前で発言するのもいや。だからみんな気をつけてほしいの。みんな!察して!!)」
HSPなんだ。の6文字の裏側に()の内容を察して!!と思いながら話しをしないといけないくらい、全部を具体的に言葉にできない間は、誰かに話しない方がいいと思います。
この時点でカミングアウトをすると、腫れ物に触れるような対応が予測できますよね。
今はまだ誰かに話をする前。まず自分を理解すること。焦らずゆっくり自分自身の心と話をすることを優先してみてください。
具体的な内容を伝える
困っていることを具体的に伝えてみてください。
先ほどの例の場合だと、
・繊細な自分を面倒だと家族に思われたくないから、自分はHSPなのだと言いたい
→本当に面倒だと思われているかな?どんなシーンで面倒そうな態度をされたっけ?
▶️大きい音が鳴るといらいらしちゃうの、悪気はないんだよね。。誰かが怒ると自分が怒られている気持ちになって身体が硬直して困っていることを知ってほしいんだ。。
↑この部分です。
伝え方の例としては、
「共感するのは難しいかもしれないけれど、そこのドアをきつく閉める時の音、すごく苦手なんだよね。あなたがいらいらしている時は特にわかりやすくて、そのいらいらが伝わって身体が硬直して困る時があるんだ。だからそんな時はものに当たらずに、ちょっと今いらいらしてるから。って直接言ってもらっていいよ。他のお部屋へ行ったりしてくれてもこちらは問題ないからね」
こんなことに困ってる、だからこういうときはこうしてくれるとありがたい。と、相手が行動しやすいようにアプローチしてみることがおすすめです。
この時に、理解を深めようと色々と質問してきてくれる人に対しては、
「実はHSPっていう気質を持っているようでね」とお話を続けてもいいのかもれませんね。
理解を強要せず伝える
分かってほしい!理解してほしい!と気持ちが重くなればなるほど、相手は理解が難しくなっていきますよね。
感受性は人によって違うという考え方をもって、私はこういう人なんです。と伝えられると双方にとってプラスになると思います。
5.カミングアウトするかどうか迷っている人に伝えたいこと
HSPに限らず、気質や性格は経験した人にしか分からないもの。育った環境も違えば経験してきたことも人それぞれ、千差万別です。
だからこそ、カミングアウトするぞ!私を理解してもらわなきゃ!と身構えなくてもいいのではないかと考えています。心身に影響を及ぼす程苦痛なことについては、避けられるように具体策を伝える。くらいの気持ちで、自分自身で特別扱いしすぎなくていいのかもしれません。
カミングアウトしてもしなくても自分は自分。もし、カミングアウトしたことで付き合いにくくなった場合はそれまでの人ですし、逆に、カミングアウトしなくても心地良く過ごせる相手もいると思います。
様々な考え方がありますが、一番大切なのは自分の心とたくさんお話合いをしてみることだと思います。
HSPの感覚を大切に、今日も頑張りすぎず楽しみましょうね。
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